※これは2019年8月のお話です
ハンガリーの地下鉄
ハンガリーの地下鉄も多分に漏れず改札がないので、切符を買って必ず打刻が必要!
そして、切符を買う自販機が改札にない場合もあるので要注意。
歩いているとそこら変に自販機があるので、見つけたら買っておくと良いです。
1回券、1日券、3日券(4日かも)と種類があるので、一日地下鉄、バス、トラムなどで観光する場合は1日券がお得。確か当時の1日券は日本円で500円くらいだったと思う(うろ覚え)
ユーロを採用していなため、とにかく物価が安すぎる。スーパーで水買っても何十円の世界。
因みに、ハンガリーの地下鉄は世界で2番目に古い事でも有名で世界遺産となっている。
この地下鉄の電車がレトロで可愛い(*´Д`)地下鉄への入り口もザ・ヨーロッパという感じ。
冷房はないので夏に乗ると暑いが・・・・。
ブダペスト「恐怖の館」
地下鉄に乗ってまず向かったのは、「恐怖の館」という何でそんな名前にしたのかネーミングセンスを疑う博物館。
ミュンヘンの「拷問博物館」のようなものを想起させるが、実は「ハンガリーの歴史博物館」なのだ。
Wikipediaによると
矢十字党政権時代のファシズムやハンガリー人民共和国時代の共産主義の20世紀のハンガリーに関する展示をしており、またそれらの時代の犠牲者や抑留者、詰問された者等の記念碑の役割も兼ねている。
Wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%81%90%E6%80%96%E3%81%AE%E9%A4%A8
この博物館、入口がとても小さいドアなのでうっかり見過ごしそうになるが、一応看板は出ているので迷うことなく到着。場所はアンドラー通り60番地。
戦車を囲む被害者たち
1階部分に戦車があり、その周りの壁には第2次世界大戦中のナチスからの迫害と戦後に旧ソ連に侵略され犠牲となった3,500人もの顔写真がビッシリと貼られておりこちらを見つめている。
こういった写真を見ると、その時その場所で確かに存在していた人達とその家族、友人がいたという事実が突き付けられる。
ここに展示されている戦車は当時のソ連の最新鋭戦車「T-54」というものらしく、共産主義独裁に耐えられなくなった市民と街中で激突、多くの若者が蜂起し火炎瓶などで戦車と闘い、尊い命が失われた。
私は普段「自由」を当たり前のものとし無意識に過ごし、ブダペストだけでなく日本も戦時時代に「個人の自由」は無いに等しく、過去の人々の犠牲、負の遺産から今の自由がある事を忘れてしまう。
「過去を遡れば遡るほど、目撃者は少なくなり、口承は沈黙し、記憶は忘れ去られる」
アレクサンドル・ソルジェニーツィンの言葉
恐怖へと続くエレベーター
エレベーターに乗って地下に降りていく際、地下室に近ずくにつれエレベーターの中はだんだんと暗くなり無機質な男性の低い声が響く。何を言っているのかその時は分からなかったが、後で調べると「地下に連行されてからどのような運命に晒されるのか」を淡々と語っていたらしい。要するにエレベーターに乗せられた私たちは「お前たちは今から地下で拷問する」と言われていたのだ。
地下に着くと当時のものと再現されたものがあり、元々石炭貯蔵庫だった場所を共産主義の政治警察が独房や拷問室へと変貌させた。
独房に入れられた人たちは、水も食べ物もろくに与えられず、時に眠ることも許されなかったらしい。
独房にも種類があり、「立ったままの独房」は人ひとりが立ったままのスペースしかなく、目の高さに眩しい電球が取り付けられていたり、
映像も流れており、かなり悲惨な内容となっていた。とにかく虐殺と死体の写真や映像を永遠に見ていく。当時のブダペストがいかに恐怖に晒されていたかがよく分かる。
確かに「恐怖の館」という名前も納得がいく。最後にエレベーターに乗って地下の監獄へ移動するのだが、その際にエレベーターの中に男性の低く怖い音声が流れる。何をいっているかは分からなかったが、下に降りていくにつれ照明も暗くなる演出も含め、訪れた人は恐怖を味わうことになる。
撮影が一切禁止だったため、写真は一枚もないが殺された旧ソ連の恐怖政治に耐えかねデモを起こし殺された市民は3,000人ともいわれており、ブダペストから逃れるために20万人の市民が国を逃れ難民になったらしい。
この博物館を訪れてみての一番の恐怖は、遠く隔離された場所ではなく街中の人々が行きかう道路の地下で当時実際に非道な尋問が行われていたという事だ。